網膜静脈閉塞症とは?
網膜静脈閉塞症とは、網膜の静脈が詰まっている状態です。
静脈が詰まると静脈の圧力があがり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。また、網膜の血液中の水分が溜まり、むくみ(黄斑浮腫)を引き起こします。
こんな人は要注意!
網膜静脈閉塞症は、年を重ねると発症しやすい病気です。
また、高血圧や動脈硬化と深い関連があり、網膜静脈閉塞症と患者さまの多くは、高血圧の方です。高血圧による動脈硬化が影響しています。
高血圧の他に、血管自体の炎症により発症したり、糖尿病、緑内障のある方にも発症しやすいと言われています。
網膜静脈閉塞症の種類
詰まった静脈の場所により分類され、視神経内で静脈が閉塞するものを「網膜中心静脈閉塞症」、網膜内の静脈が閉塞するものを「網膜静脈分枝閉塞症」と呼びます。
検査方法について
網膜静脈閉塞症は下記のような検査を行い、診断します。
視力検査
定期的な検査を行い視力の経過を観察していきます。
眼底検査
網膜の状態を調べるために行います。
出血や網膜のむくみ(黄斑浮腫)を調べます。
蛍光眼底造影
造影剤を使用します。眼底カメラで網膜や脈絡膜にある血管の状態を観察します。
血管の位置や形、血液からの血液中の水分の漏れ具合などがわかります。
網膜断層検査
光干渉断層計(OCT)で網膜の断面を観察する検査です。
網膜のむくみ(黄斑浮腫)がわかります。
網膜中心静脈閉塞症について
眼球の後方にある網膜中心静脈(根本)が詰まって発症します。
どんな症状なの?
- 静脈の根本が閉塞するため、網膜全体に血液が漏れ眼底出血を起こしたり、水分が溜まる為、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。
- 急な視力低下
- 眼底出血の場合、出血したところが黒っぽく見える。
- 網膜の出血が軽度である「非虚血型」と、出血が多い「虚血型」があります。
治療方法について
症状によって治療方法が変わります。
抗VEGF療法(薬物注射療法)
網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫にはVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が関与しています。このVEGFのはたらきを抑える薬を目に注射します。
レーザー光凝固術
むくみのある箇所にレーザー光線を照射して、むくみを抑えます。
また、光凝固は重症化を防ぐために予防的に行われる場合もあります。
ステロイド療法
炎症を抑える作用があるステロイド薬を目に注射して、目のむくみを抑えます。
硝子体手術
上記の療法で効果が得られない場合や硝子体出血が起こっている場合に硝子体手術を行います。
硝子体手術について詳しくはこちら
網膜静脈分枝閉塞症について
静脈が網膜内で枝分かれしている部分が詰まって発症します。
主に網膜の動脈と静脈が交差している部分に血栓ができ、血管が詰まります。
どんな症状なの?
- 眼底出血や黄斑浮腫を起こすと、視力低下を起こしたり物がゆがんで見えたりします。
- 急な目のかすみ
- 視野が欠ける
- 眼底出血の場合、出血したところが黒っぽく見える。
治療方法
視力の低下や見え方に異常がない場合は、経過観察を行います。視力が低下している場合は、黄斑浮腫の疑いがある為、改善する治療を行っていきます。
抗VEGF療法(薬物注射療法)
網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫にはVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が関与しています。このVEGFのはたらきを抑える薬を目に注射します。
レーザー光凝固術
むくみのある箇所にレーザー光線を照射して、むくみを抑えます。
また、目の状態によっては、網膜を焼き固め、新生血管が生じないようにします。(予防処置)
ステロイド療法
炎症を抑える作用があるステロイド薬を目に注射して、目のむくみを抑えます。
硝子体手術
上記の療法で効果が得られない場合や硝子体出血が起こっている場合に硝子体手術を行います。